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首振りにしたラダーが装備されている。そして、低速時でも上下方向の移動およびpitch制御が可能なように、前後に垂直スラスターを有している。但し、左右方向へのスラスターは装備されていない。
連動性能としては、最大航行速度3knot、旋回半径は、例えば前進速度1.5knotの場合で、30mとなっている。また、内部のハードウェアの特性上、姿勢角に制限があり、rollおよびpitchの限界角度は±30度である。潜航可能な最大深度は400mとなっており、それ以上の潜航はできない。
航行に必要なセンサーとして、ソナーとlNS(慣性航行装置)、深度計、温度計が搭載されている。ソナーの配置は、Fig-2に示すように、走査範囲は120度で、幅は3度であり、レンジは50mに固定してある、INSは、R-oneの姿勢角、姿勢角速度、前進速度、上下方向速度、左右方向速度、緯度および経度を、0.5秒毎に知らせることになっている。

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Fig-2. Sonar Range

3.想定ミッション
3−1.ミッション概要
ミッションとして、ペイロードの機器による、海底観測を考えた。このミッションの概要をFig-3に示す。具体的には、海底付近の様子をペイロードを利用して観測するために、深度200m付近を海底面から鉛直上向きに30mの高度を保持し、ミッション開始時に設定した方位を保ちつつ航行を行う。そして、観測航行を開始して、指定時間が過ぎたら浮上する。よって、コントローラーとして必要な動作は、海底付近の観測ができる高度で航行することと、障害物に接触しないように航行することである。

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Fig-3. Schematics of Mission

4.コントローラーの構築
4−1.コントローラーの全体構成
航行中にR-oneが取る行動は、部分的に見れば、幾つかのパターンに分けることができると考えられる。例えば、エレベーターを利用して障害物の回避を行う場合は、メインスラスターでの前進速度の制御と、エレベーターを利用してのpitch角制御を組み合わせることによって、実現できるということである。
そこでコントローラーは、想定される行動パターンをあらかじめ構築しておき、それらを適宜呼び出して行動を決定するという構成にする[5]。この選択の例をFig-4に示す。Fig-4では、前方の障害物の回避のために、ミッションである高度制御を禁止して、pitch制御を選択している例である。これらの行動パターンを「Control Module」と呼ぶことにする。

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Fig-4. An Example of Module Selection

4−2.Control Moduleの構築
本詩文では、Control Moduleを構築する上で、「ミッション」「障害物回避」「姿勢制御」の3つの観点から考えた。
(1)ミッションに必要なControl Module
ミッションは、「開始」「潜航」「観測」「浮上」「終了」に分けて考える。それぞれにおいて必要な機能は、以下に示すようになる。
・開始、終了:前進速度の制御、深度の制御
・潜航、浮上:前進速度の制御、pitch角の制御
・観測:高度の制御
(2)障害物回避に必要なControl Module
ミッション中に発見される障害物は、大別して以下の4種類があるとし、それぞれについて必要なControl Moduleを考えることにする。
・低い障害物
低い障害物とは、R-oneの最大pitch角で上昇すれば、回避できる物のことを指す。この回避は、エレベーターを利用して障害物を回避することにする。そこで、エレベーターを利用したpitch制御が必要となる。

 

 

 

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